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2020年6月17日水曜日

2017年 スペイン巡礼 北の道 (39)


711028 棚橋正人
77日(金) 後半 バーモンデ (Baamonde) 
                                                       
    

何やら辺りが騒々しい!懐中電灯で時計を見ると時間はまだ11時!
重低音がベッドに響き、サーチライトの明かりが窓から差し込む!
戦争でも始まったか!異星人の来襲か?なんだ?なにが起こったんだ?

あちこちの二段ベッドからブーイングの声が暗い室内に響く。
ドラムの音が鳴る。ガンガンのロックがすぐ近くで鳴っている!
そういえばアルベルゲの隣で新築のバルが工事をしていた。バルは開店間近のようで椅子やテーブルなどを夕方から運び入れていた。その道を挟んだ向かい側が広場で移動式のステージがしつらえてあった。明日の土曜日にイベントがあるのだろうと思っていたが、今夜かよ!それも深夜11時からってどういうことだ!そもそもここは巡礼者のアルベルゲだぞ!朝は8時には出ろ出ろ歩けって追い出され、門限10時で扉は締められたはずだ!4時から起きて歩く奴もいるのに!夜の11時からのライブはないだろ!まったく!!

ところが、巡礼者の中には嬉しそうにいそいそ出ていく奴がいる。 
しばらく我慢をしていたが騒ぎは収まる気配がない。耳栓をして寝てしまうのも手だが、どうせ寝られないのならちょっと様子を見てこよう。

外に出ると舞台にスポットライトが当たっている。が、歌手が一人だけ。
バンドはなし?!なんだテープを流しているのか!
だが、スピーカーはデカい!そして、音量だけが半端なくデカい!
司会者が一人。ところが観客がいない!なんだこれは!

 このショーは新しくできたバルの新装開店のイベントだったのである。
11時はさすがに冷える。地元の客は温かいバルの中で飲んで外に出てこない。
カナダのスキンヘッドがリズムに合わせて身体を揺らしている。
デルクがビール片手に踊っているぞ!あはは!こいつらはまったく!
ステージのお姉さんが裸に見えたが、そんなはずはないだろう!?ヤバイ!よく見るとライトのせいで、ホットパンツに胸の空いた衣装だった。照明はコンピューターに打ち込まれているらしく無人でフラッシュしていく。


男性司会者が盛んに呼びかけるが観客は遠巻きにしてステージになかなか近づかない。村の住民よりペレグリーノの方がよっぽど乗りがいい。
デルクが僕を見つけてビールをおごってくれた。奴はもういいご機嫌だ。
前座が終わって男性歌手がステージに。この人の歌はまだ聞ける。
司会者が「みんな踊って!」とかなんとかいっている。やっとパラパラ地元民がステージに近づいてきた。ロックは向かい合って踊るからこの野外では寒すぎる。深夜だが子どもがお母さんと手を取って踊っている。楽しそうだ。

楽しめばいいかそんな気持ちになってきた。ビールもおいしい。でも、寒い!!そこで、踊っているデルクにことわってカルラにダンスを申し込む。
こう見えてわたくし『Shall we dance』に魅せられて少々ダンスの心得がありますのじゃ。カルラの手を取り簡単なジルバのステップを踏む。左手でくるりとカルラを回す。ダンスは男性のリードで決まるのです。なかなか楽しいがすぐに息があがってきた。これ以上はボロが出るのでおしまい!カルラに一礼をしてデルクに奥様をお返しする。いやいや楽しかった!
みんな夜をたのしんでね!ハポン遍路は充分満足しました。もう寝られます。

思えば「北の道」に来て一番長い一日でした。 
まさかこんな展開になるとは…。
芸は身を助く!人生は楽しむためにある!

ビールの酔いとダンスの高揚と身体の疲労と眠たさでドーパミンが……。

あしたのこころだー!

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