企画展の終了が近いという情報をJR駅のポスターで見ました。オープン以来、いっぺん行ってみたいと思いながら、何しろ人の多いところが苦手な私なので、これまで行けずにいました。 この機会にと1月の下旬、梅小路を目指したのでした。
ここは梅小路蒸気機関車館の時代に一度行ったことがあります。
埼玉にも、名古屋にも鉄道に関係する博物館がありますが、ここ京都鉄道博物館のよいところは、まず周辺のロケーション。東海道新幹線、東海道線、山陰線の列車が近くを走り、「ほんまもん」の列車が見られること。博物館から見ると東に京都タワー、南には新幹線の向こうに東寺の五重塔が見えて、ほかのどこでもない「京都」を印象付けます。
京都駅からのアプローチもなかなかによい。京都駅から西へ歩いていけば、ほどなく梅小路公園。この公園の北側を歩けば京都水族館、南側を歩けば、JR線のすぐ隣。さらにSLスチーム号が蒸気を吐きながら(SLですから当然ですが)、目の前を走っていく。入館料を払う前から大サービスの様相。そんな中を歩いて博物館に到着します。
展示車両の多さも魅力です。大阪(交通科学博物館)から引っ越してきた車両に、もともとの梅小路(蒸気機関車館)の蒸気機関車が加わるわけですから、埼玉や名古屋に負けようはずがありません。話題だったトワイライトエキスプレスも展示されていますし、「生きている」蒸気機関車が何両もあるという贅沢。内部をもっと見せてほしいなと思う車両もあって、気を惹きます。
2階のレストランからの新幹線や在来線、SLスチーム号が走るのを眺められるのもいいです。幸いに南側の窓際の席に座れました。味はともかく、よそには見られないメニューばかりで、いっぺんくらいは見ておく値打ちがあるというもの。
3階のスカイテラスも魅力的です。気候のいい頃に、お弁当を持ち込んで過ごしたいと思う優雅なスペース。
京都鉄道博物館は朱雀大路の上に建っているそうです。ということは、この真南には羅城門があったということですね。平安時代には朱雀大路をたくさんの人たちが往来したことでしょう。平成の今は山陰本線の列車がほぼ朱雀大路の上を北向きに高架で走っています。
やはり人々にとって鉄道って人生なんだと思います。展示されている車両のほとんどは「昔」走っていた車両です。老夫婦が昔、その列車に乗った思い出を語っていたり、昔はこんなだったんだと子どもや孫に話していたり。決してここは、子どものためだけのテーマパークではありません。子どももカップルも親子連れも、孫連れも、そして老夫婦もやってくるマルチな博物館です。
そして何よりジオラマ。上演時間が近づくと館内から人が集まってくること。動くものが好きなのは子どもだけではありませんね。ジオラマの「くすぐり」は名古屋のほうが上かな?
日が傾きかけたころにSLひろばに出ます。蒸気機関車ってどうして、あんなに夕日が似合うのでしょう。過去の勇者だからでしょうか。SLスチーム号として1日の勤めを終えたC62の2号機が転車台に乗って線路を替え、石炭の燃えカスを掃除するのだそうです。
大人の入館料が1200円。映画一本観るより安く楽しめます。大阪時代から、あるいは蒸気機関車館時代から入館料が高くなったと思っていましたが、1日遊べるなら安いものです。
見るものがたくさんありすぎて、肝心の企画展はほとんど素通りで終わってしまいました。
(hill)