五行歌という言葉をご存知ですか?
歌のスタイルの中で、五行に分けて書くというものがあるそうです。いい年になっても知らないことだらけですが、この五行歌という言葉も最近教えてもらいました。
「こんな本があるよ」と、友人が貸してくれたのが、寺本一川さんの『透理』という五行歌集。面白いことにその友人というのは、教員でも国語関係者でもありません。情報供給元は広くなければならないと思います。職員室や学校が自分の宇宙のすべてであってはいけませんね。この国語教育研究会にも、国語科教員以外の人たちもたくさん参加してくれますが、大切なことだと思います。
さて、五行歌。定義を知りませんが、歌集を読む限り、音の数はまったく自由のようです。それどころか、この歌集には六行の作品もあります。ウィキペディアの「五行歌」の項にはこんな説明があります。
五行歌(ごぎょうか)とは、石川啄木に影響を受けた草壁焔太によって考案された自由律定型詩である。文字数や季語の制約はない。現在は、日本全国に50万人の愛好者をもつ。
五行歌五則というルールがあることも「五行歌」の項に書かれています。
- 五行歌は、和歌と古代歌謡に基いて新たに創られた新形式の短詩である。
- 作品は五行からなる。
- 一行は一句を意味する。改行は言葉の区切り、または息の区切りで行う。
- 字数に制約は設けないが、作品に詩歌らしい感じをもたせること。
- 内容には制約を設けない。
国語の授業で生徒に作らせられそうな気がしませんか?
『透理』からいくつか歌を引用します。
からだは
土
わたくしという
花が
咲ききる迄
今宵
くちびるで
拭われる
紅を思う
淡くひく
これらは結構知られている歌のようです。Webで検索をかけても出てきます。
官能的といってよいのかどうか、艶っぽいものもたくさんあります。
名を捨てて
男と女だけがいる
ただの
男と女
だけでいる
ほどけた
帯
堕ちた
緋のじゅばん
花を描く
私のノートにはたくさん書き写したのですが、作品そのものをここに掲載するのは気がひけるのでこれぐらいにしておこうと思います。
残念ながら、『透理』は絶版となっているようです。
(hill)