大阪松竹座で公演中の、「地獄八景亡者戯」というお芝居を観てきました。
みなさんご存知かと思いますが、この「地獄八景亡者戯」というのは、消えかかっていた古い話を、桂米朝氏が再構築させた上方の落語がもとになっています。私は生では聞いたことがありませんが、若い頃に桂米朝氏のカセットテープを買ったのが、自分の中で唯一の「地獄八景亡者戯」です。デジタル化して、カセットテープは処分してしまいましたから、いつごろの録音かは定かではありません。内容から柳家金語楼さんが亡くなった直後と思われ、氏は1972年に亡くなっているそうですから、随分年代ものの音源を持っていることになりますね。
私の興味は、この落語がお芝居としてどのように化けるかということでした。落語では亡者の八景ですから場面や登場人物が次々に変わるのですが、それでは舞台としてまとまりがないだろうと思っていました。落語家の泥丹坊堅丸(桂ざこば)が主役で通しています。地獄を経験して妻や娘の愛に気づくというパターン。それに桂米朝追善芝居と冠がついているように、米朝氏があちらこちらに登場します。主役の落語家の師匠が、どうも米朝らしい人柄であったり、落語家として、つまり人間米朝が顔を覗かせます。また、ゲストが日替わりで登場するらしいのですが、私の観た日は、ABCの三代澤アナウンサーがスーツ姿で閻魔大王の裁きの場に登場、米朝氏の思い出を語るというややこしさ。
いくつかの落語のストーリーが話題の中にも登場し、落語を知っている人は知っている人なりに、知らない人もそれなりに楽しめるお話しでした。桂米朝という人が、いかに大仕事を成し遂げたか、また人々に愛されていたかが垣間見えるようなお芝居でした。芸者役の三倉茉奈さんが、SNSなどで、「楽しい芝居だった」と宣伝してほしいとおっしゃったので、ここで記します。
(hill)
大阪松竹座のサイトはこちら。
0 件のコメント:
コメントを投稿