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2016年1月18日月曜日

鷹長 純米吟醸



  鷹長(たかちょう)。奈良県御所市の油長酒造が醸造するお酒です。
 透き通った繊細な味です。とってもいい感じ。グラスに注いでも泡は見えませんが、舌の上で少し泡を感じます。ワインのように洋食にも合うお酒ではないかと思います。いいお酒に遇えました。
 正月に飲む酒をと思い、この会社の「風の森」というお酒を探していたのです。8年間、風の森峠を越えて通勤していました。なんとも魅力的な、思い入れのあるネーミングです。ところがお店では、「うちはその銘柄は扱っていない、同じ会社の鷹長なら置いている、これお勧めだよ。うちで2番目の売れ筋!」という話に乗って買ってしまいました。おじさんがいうには、この酒は丁寧に「瓶火入」をしているのだということでした。発酵を止めるために火入れをすることは知っていますが、瓶火入とは何?瓶詰めしてから60度のお湯で湯煎をして発酵を止める。だから、瓶の中に炭酸ガスが残っていることがあり、開封時に栓が飛ぶことがある。そんな説明を受けました。果たして開封時、栓が天井まで飛び上がったのでした。
  もうひとつ教えてもらったことは、このお酒はうるち米のキヌヒカリを使っていること。へぇ、酒米でなくてもこんなおいしいお酒が造れるのだと感心しました。技術とかウデのなせる技なのでしょうね。
 若い頃、御所市には3年間通ったことがありますが、こんな造り酒屋があることはまったく知りませんでした。あの頃、地酒ブームという言葉があったことは記憶していますが、若い私には日本酒には興味はありませんでした。飲んで飲めなくはなかったのですが、お調子で燗をして差しつ差されつ…おじさんのお酒という印象しかありませんでした。そして今やおじさんを越えてしまいました。
 この油長酒造は300年近く続いている会社だそうです。この頃はどんなお酒を造っていたんでしょう。先ほどのお店のおじさんに聞いてみました。「造った酒の半分は大手が買い取っていった。日本酒の消費量が1970年代に比べて3分の1くらいに減った現在、うまい酒を作る努力を続けてこなかった会社はつぶれていっている」という話でした。そういや、なくなった造り酒屋もいくつか頭に浮かびます。この油長酒造も、「夢錦」の豊澤酒造も、努力を続けた結果、現在おいしいお酒を提供できているということでしょうね。奈良の造り酒屋さん、頑張っていますよ。

hill

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