兵庫県福崎町には、「遠野物語」で有名な民俗学者の柳田国男の生家があります。彼は方言周圏論を唱えた人です。水面に石を投げた時に水紋が周囲に広がっていくように、方言が周囲に広がっていくという考え方が方言周圏論で、遠く離れた土地で同じ言葉が使われているのは、水紋の広がりのようなものだという論だと記憶しています。
その柳田国男の生家は見学できるようになっていて、隣には歴史民族資料館や松岡家記念館があります。
先日行ってみたら、そのすぐ隣の辻川山公園の池に、河童が出没するというのです。
駐車場にクルマを停めていたら、時間を追うごとに人が多くなっていく場所があるのに気づきました。もちろん、この時点で私は河童のことを知りません。何か面白いものがあるのかなと、その「人だかり」に行ってみたら、あるのは小さな池。みんなが水面を注目している。またスマホで撮影するがごとく水面を狙っている。しばらくすると歓声が上がって、人が散り散りになります。どうやら池には河童が生息していて、一定の時間になったら姿を見せるらしい。
そこで、人がいなくなった池の周囲で情報収集をしてみました。河童は河太郎(かたろう)と河次郎(がじろう)の二人?二匹いるらしい。兄の河太郎は池のほとりでじっと動かないのですが、河次郎は池の中に隠れていて一定の時間にならないと姿を見せない。その姿を見せる時間は、駐車場のトイレの前に表示している…思わせぶりな。
で、姿が見える時間は毎時0分と30分らしい。うーん、これから30分も待てるか!でも30分に一度という設定は絶妙だなと思いました。10分や15分に一度ならありがたみに欠ける。1時間に一度なら待ちきれない。30分に一度なら、すぐ隣の「もちむぎのやかた」で、名物のもちむぎ麺でも買って待っていようかと思う。
20数分後、私は池のほとりにいたのでした。周囲に少しずつ人が増えてきます。その人たちの会話を聞いていると、河童は3度、水中から姿を見せるらしい。
思わせぶりな泡がぶくぶくと上がってきて、河太郎が姿を見せました。なかなかの迫力です。水の濁りかたもそれらしい。
偶然、楽しいものに会えました。
(hill)
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