なつかしきは学校行事。昔勤務していた学校では、この季節に生駒山から信貴山を経て学校まで歩くという行事がありました。もういっぺん歩いてみたいと、冬が来るたびに思いながらひとつ年を取り、またひとつ年を取り…数えてみたらその学校を出てから今年で10年。
世間ではセンター入試の2日目。全国的に寒波に見舞われ、受験生は時間に余裕をもって会場に向かうようにというニュースが流れた日でした。自宅の周りでも屋根が雪でうつすら白い。どうしても歩きたくなって、生駒山は積雪があるかもと思いながら電車に乗りました。
山歩きをする気になったのは、雑誌「BE-PAL」を何十年ぶりかに購入したからかもしれません。それも2回も。かつての似非アウトドア派に何十年かぶりに戻ったということかもしれません。
生駒ケーブルの力を借りて生駒山上へ。そこから南へ歩いて信貴山を目指し、朝護孫子寺の境内を通って、近鉄信貴山下駅を目指すというルートです。記憶が正しければ14kmくらいのコースだったと思います。
生駒ケーブルの車両には山歩きをすると思われるいでたちの約10人が出発を待っている模様。中には二人ほど子供もいます。その中の一人と目が合いました。「何してんの?」「それはこっちのセリフ」 その、「昔勤務していた学校」で一緒だった先生でした。先生いわく、この車中の客はみんな同行者で、「昔勤務していた学校」の卒業生とそのお子さん。ある運動クラブの同士で、そして先生はそのクラブの顧問だったというのです。私がその学校で勤務するよりずっと前の卒業生だそうで、私はまったくの初対面です。かつての学校行事に倣い、生駒山上からかつての母校と信貴山下駅を通過して王寺駅まで歩くといいます。驚き!結局、ケーブルカーの車中の人は全員同じコースを目指しているということですね。この人たちと一緒に歩くことにしました。
11時前。ケーブルカーの終点、生駒山上に着きました。おそらく氷点下だと思われますが、かつて駅舎に取り付けてあった温度計がどこを探してもありません。私たちの一行のほかにはほとんど人影もありません。なにしろ生駒山上遊園地は現在冬期休業中。山歩きをする人以外はここまでやってくる理由がありません。雪は、積もるというほどはありません。きっと風が強かったので、雪が付かなかったのでしょう。
歩き出して気づいたのは、宇宙科学館が取り壊されて更地になっていたこと。円形のこの建物は麓からもよく見え、テレビ電波の送信塔と合わせて生駒山上のシンボルのような気がしていたのですが、そのうちの一方がなくなっていました。ちょっと寂しい。
晴れてはいるものの雲の動きが早い。山上からどんどん下って、暗峠の下。ここから登って府民の森。大原山ぎんしょう広場で昼ごはん。陽ざしがあるほうが暖かいだろうと、東屋ではなく地べたに座り込んだのに、雲に覆われて風に吹かれるばかり。私たちの一行ではない男性が一人、三脚を立てて何かをしています。近づいて尋ねたら、無線の受信をしていて、これはアンテナだと震えながら言います。いろいろな趣味があるのだなと感心しました。やはり氷点下のはず。体が冷えてきたころに、OGから「コーヒーをどうぞ」と差し入れをしてもらいました。紙コップにスティック状のインスタントコーヒー、ポットのお湯を注いだだけなのに、このコーヒーがおいしかったこと。指先もお腹も温まりました。
(hill つづく)
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