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2019年8月12日月曜日

第24回奈良大学国語教育研究会報告(1)


奈良大学を卒業し、教員になった人たちの研究会…ということになっているのですが、この研究会は、幅広くいろいろな人たちが集まってくれる研究会です。大学の国文学科の先生、学生さん、教員以外の卒業生も集まってくれます。ふと気づくと他大学の出身者もいたりして…その幅の広さが、この研究会の強みだと感じています。
京都では最高気温が39℃に達したというこの日。奈良市山陵町にも熱い一部屋がありました。

日時 2019810日(土)13:0017:00
場所 奈良大学 本部棟4階 会議室


記念講演

       将門の笑い声-『平治物語』における「しいとぞ笑ひける」をめぐって
             奈良大学文学部 国文学科   山田 昇平 先生



実践報告

       自分の思いを自分の言葉で表現できるために
             姫路市立大白書中学校      鎌田 美恵  さん


ワークショップ

       学童指導員と非常勤講師と漢字教育士と
             奈良県立大和中央高校      松本 和世 さん



メモと感想
記念講演の山田先生は、今年奈良大学に来られた先生。とてもお若い。「しいとぞ笑ひける」の「しい」とはどんな様子の笑いか、というお話しでした。私たちはわからない言葉が出てくると辞書を引くわけですが、その辞書に説明は、果たして正しいか。辞書では「しい」は、「あざ笑う様子、嘲笑」などと説明されているのですが、本当にその解釈でよいのか、さまざまな文献に当りながら検証されました。私たちは辞書を信用して引くわけですが、辞書も万能ではないという意味で興味深い内容でした。

続いて中学校の現場からの実践報告。どんな校種であれ「書く」ことの指導はいろいろと難しいものです。書きたいことがないという生徒にどう対応したらよいものか。しかし、一方で受験等では明らかに書くことの力を要求されますし、生活者としても伝えたいことをちゃんと書けるという能力は必要なもの。書くことのハードルを下げるための工夫。教員として気をつけるべきこと。書くためには読ませるー指導も必要。発表者、鎌田さんお一人の実践ではなかったそうですが、中学校以外の教員にも「為になる」実践発表だったと思います。
この最後コーナー、ワークショップ。ふつう、この研究会では中学校なり高等学校の教員が登場するのですが、今回は学童指導員としても活動中の松本さん。漢字指導に的を絞ったお話しでした。学童の子供たちは漢字が好き。漢字を書きたいと思っている。それが高校生になると漢字嫌いに変わっていくことのお話しでした。中学・高校教員には見えない側面からの指摘はとても勉強になりました。
また、今回の講演、実践発表、ワークショップがどれも参加者の気持ちに深く入り込んだものと思われ、質疑応答の活発だったこと。屋外の気温に負けないくらいの熱い研究会となりました。

(hill)




 

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