オフィシャルブログによれば紅葉が真っ盛りという記事が16日に書かれています。それからおよそ10日。どうだろう。
９時の開演前から10人程度の並び。こんな吉城園を見たことがありません。所有者（奈良県）や管理者には申し訳ないことですが、人の少ないのが吉城園の魅力と感じています。吉城川という小さな川を隔てた隣は依水園という民間所有の立派な庭園。訪れる人も多い。こちらは地味だけれど静かなのが魅力だと思うのです。それに何年か前から、250円だった入園料が無料になりました。これも魅力。
ところがこの人気はどうでしょう。コロナの反動もあるんでしょうね。奈良公園周辺の観光客は、京都市中の喧騒とは比べ物にならないでしょうが、この吉城園でも入場者は多いぞという印象です。
きれいな紅葉になるかどうかは、天候ぐあいが関わっているのですが、今年は比較的いいほうかも知れません。悪い年は、紅葉を通り越して葉がチリチリになっている年もありました。今年はちょうど、紅葉ぐあいのいいとき。時折風が吹いて、葉が一斉に舞い降りる。いいタイミングで訪れることができたものです。しかし、カエデ系の赤い落ち葉が少ない気がします。
現在、誰でも無料で入れるようになっていますが、かつて、外国からの訪問客はパスポート提示で無料という時期がありました。西洋からのお客さんと思われる人たちは、入ってきても庭の写真を数枚撮ってすぐに行ってしまうという感じでした。日本庭園には魅力を感じない感性なのかなと、私は首をかしげていました。一方韓国や台湾、中国本土（からと思われる）など近隣からの訪問客は、私たちと感性が似ているようで、割と長居をするように思います。ただ、彼ら、彼女らはよく喋る。紅葉の日本庭園に似つかわしくないくらい、よく喋るというのが私のここでの記憶です。
歴史
- 昭和の終わりに県の所有となる。
- 平成元年４月 開園
- 令和２年４月 無料開放
県職員だった知り合いの話では、所有者の懐具合で維持できなくなった土地や建物を県に寄贈することがあり、これもそのひとつだということでした。また、県庁に近いこともあり、かつては県職員が会議室代わりに吉城園を使っていたこともあるということでした。
私が一番初めに吉城園に入ったのは、平成７年４月だったと思います。この周辺はよく歩いているのに、こんなところに庭園があるなんて知らなかった。偶然に見つけたのです。当時は、開園時期が春と秋の行楽シーズンの間だけ開園だったように記憶します。15年くらい前は冬季の３か月くらいは閉園でした。今は２月の終わりに５日間だけが閉園、つまり年中ほぼいつでも入れるようになっています。
朝露に濡れた苔がきれいです。しかし、撮影は難しいお庭だと思っています。朝日が差すのが遅いし、午後の翳りは早い。お庭の南側に背の高い樹木が揃っているものですから当然です。苔が生す環境というのはこういうものですね。
その依水園が高級ホテルに変わるという話を聞いて寂しく思ったのは何年前のことだったでしょう。去年だったか、吉城園の受付のスタッフにその話をすると、「吉城園はそのまま、変わりませんよ」との返事だったので安心しました。
2013年のデータですが、都道府県別の宿泊施設客室数は9055室で全国47位（厚労省）。客室稼働率は47位（観光庁、2019年２月）、宿泊者数も47位（同）だそうです。輝かしい？記録をもつ奈良県にも、近頃ホテルの話題が多い。マリオットさんや星野やさんがいくつもホテルを造るらしい。
- 2020年7月開業 JWマリオット・ホテル奈良（奈良市三条大路）
- 2022年3月開業 フェアフィールド･バイ･マリオット･奈良天理山の辺の道（天理市杣之内町元山口方）
- 2023年開業予定 明日香村に建設を計画しているホテル 星野リゾート
- 2024年開業予定 国重要文化財の旧奈良監獄（旧奈良少年刑務所、奈良市）星野リゾート
県民の私としては、いくつもの高級ホテルの開業がうれしいような、できたところでまったく無縁なような…
（hill）
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