ジャポニズム。西洋における日本趣味のことらしい。それで思い出したのは、日本に骨をうずめたポルトガル人、モラエス。彼は20世紀の初めごろから、本国ポルトガルに日本を紹介する文章をたくさん書きました。それに関わりがあるのかないのかはわかりませんが、西洋人の日本趣味というものを知ってみたいと思ったのです。
この知識がどのくらい正しいかはわかりませんが、私が知っている浮世絵と印象派の関わりは次のようなことです。明治になって西洋の文明が入ってくると、日本人は自分たちの文化に自信をなくします。それで、陶器だの絵画だのを安い値段で西洋に売り渡してしまう。一方、西洋では写真技術の発明により、それまで安泰だった写実主義が揺らぎ始める。だって、まるで本物を見ているような絵を描いたところで写真にはかなわないわけだから。写実主義のあとにくる印象派の大きなヒントになったのが日本の浮世絵である。
ロンドン万博(1862年)や、パリ万博(1867年、1878年)ではすでに日本の紹介がされていたそうです。1878年のパリ万博ではジャポニズムは大きな話題だったとのこと。
ホイッスラー展では、全体が3つの章に分けられていて、第1章が人物画、第2章が風景画、そして第3章がジャポニズムになっていました。ホイッスラーの作品の中でも、人物の背景に浮世絵が描かれていたり、人物が日本的な小道具を持っていたりという作品がありましたが、もちろんそれだけでなく、浮世絵の構成をそのまま西洋の風景に置き換えたものや、構図としての発想を浮世絵に求めたものが多く紹介されていました。橋全体を描かないこと、船も全体を描かないのは、それまでの西洋の絵にはなかった浮世絵の手法だと紹介されていました。参考展示として浮世絵が隣に置かれていると、ほんに瓜ふたつなんて思う作品もあって、とても楽しい。別室の第4回コレクション・ギャラリーでも、ジャポニズムに関する展示が行われていて、浮世絵が大きく西洋の絵画に影響したものととして橋と船と木立と髪梳きの4つが取り上げられていました。
(いいかげんな私のこと、ここまで記したことはあまり信用なさいませんように。)
4階の窓からはすぐ隣に平安神宮の大鳥居が見えます。いい風景です。さらに、ここのトイレもさすが美術館と思えるくらい洗練されています。写真を撮ってしまいました。
とても勉強のできた1日だと思ってはいるのですが、こんな私のこと、どうせすぐに忘れてしまいます。でも、たまには美術館に出かけて心を広くしなければならないなと思った次第です。
京都国立近代美術館、いいところですね。
(hill)
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