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2019年9月25日水曜日

2017年 スペイン巡礼 北の道 (1)


711028 棚橋正人

20176日(金) パリ(Paris) ~ イルン(Irun)
 

夕刻、パリから電車を乗り継いで2度目のスペインにやってきた。
ここは国境の街イルン。あいにくの雨の中、予約した宿を探す。このあたりと見当を付けた店は名前が違う。道行く人に宿の名前を書いたメモを見せると車道の向かいの店を指さした。「ありがとう!グラシアス!」バルの上にあるペンシオン(民宿)「レストランテ ビダソア」は案外苦労なく見つかった。

この街イルンがスペイン巡礼「北の道」の出発点。
 2度目のカミーノ(巡礼の道)840キロの旅がここから始まる。
 だが、日本語で書かれた「北の道」のガイドブックはまだ発行されていない。
 カミーノのわが先達(せんだつ)平野君が数年前にこの道を歩いて道中の写真をフェイスブックに載せた。それを見て「いいな!」と思い、海岸線の美しさと巡礼者の少ない様子が印象に残っていた。
 5年前に歩いたメインルート「フランス人の道」は映画や本のせいでブームとなり、近年あまりにも歩く人が増え、シーズン中は宿があふれかえっていると聞いた。さて、2度目のカミーノはどの道を歩くか?ここが試案のしどころなのだ。

さて、拙著『星めぐりの巡礼』を読まれていない方のために…
「巡礼の道」とは、キリストの最初の弟子、ヤコブ(スペイン語名はサンティアゴ)を祭るサンティアゴ・デ・コンポステラの大聖堂をめざす道のことである。ヨーロッパ中にある道がフランスで四本の主要な道となり、スペインのプエンテ・ラ・レイナで合流して一本の道となる。スペイン国内には他に「北の道」「最初の道」「銀の道」やリスボンからの「ポルトガルの道」などもある。古い道はなんと千年の歴史を持っているというのだからすごい!

 そこで、もう一度歩きたいと思い続けたカミーノを今回は「北の道」と決めた。その平野君から以前、「北の道」のドイツ語のガイドブックを譲り受けていたのだが、吾輩は大学時代の第二外国語がドイツ語であるにもかかわらず、今も昔も全くもってドイツ語が読めない。これは困った!本を見てわかるのは地図と道の高低差くらいなのだ。
そこで、持つべきものは我が先達平野君。旅人の彼が関西に来るのを待ちかねて、定宿である旧東海道「関宿」にある古民家ゲストハウス「石垣屋」の茶の間で「北の道」のレクチャーをお願いした。お薦めのアルベルゲ(巡礼宿)や難所コースの宿のあるなし、食料調達が絶対必要なルートなど、体験者ならではの貴重なアドバイスをたくさんいただいた。感謝!感謝!雨あられ!!
出発は前回と同じ5月の連休明けと考えていた。
が、しかし、2月にやっと老人施設に入居できた母が3月に突然、脳梗塞で倒れた。手術が決まり巡礼は無期延期となった。
しかし、神の助けか母は手術後90歳の高齢にもかかわらず順調に回復し、4月の終わりにはリハビリをする回復病棟に移ることができた。ありがたい!
そこで、この機を逃しては次いつ行けることになるかわからないと考え、家族の「あきれ顔」をなんとか説得しての出発だった。2度目のスペインに来られたのは、全くもってみんなの理解があればこそ!特に奥様には足を向けては寝られないのですよ。

つづく

奈良大学国語教育研究会の初代事務局長で、研究会のブログで 「スペイン巡礼 -800キロ歩き旅-」を発表された棚橋正人さんが、今回は2017年の巡礼の記録を発表されることになりました。週一回のペースで連載していく予定です。

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