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2019年12月18日水曜日

2017年 スペイン巡礼 北の道 (13)


 711028 棚橋正人

    6月12日(月) レザマ(Lezama) ~ビルバオ (Bilbao )  11


オスピタレロ(アルベルゲの世話人)のおばさんは金髪パーマのおしゃれな方。出がけに記念写真をお願いしたら、ぴったりと寄り添ってくださり、ちょっとドキドキした。
  朝飯は昨夜のバルでみんなと一緒にわいわい言いながら食べる。おしゃべりが止まらない。このままでは、おしりに根っこが生えてきそうだ。

巡礼者は歩いているうちに自然と相棒ができたりグループになったりする。歩くペースが同じならば、情報交換をしたり、おしゃべりをしたり単調な歩きが癒される。カミーノが初めての人もいるが「この道は3回目だ」などというベテランもいて、そうなると道も宿もレストランも町の名物もみんな教えてくれる。そんな人にまかしておけば安心で毎日酔っぱらっていてもゴールに到着できる。ほんとうにそんな面倒見のいいおじさんは結構いる。あるお金持ちの旦那遍路はレストランで気持ちよく酔っ払い、入れてくれた若いグループの勘定を毎晩カードで払ってくれるようになった。それが当然という空気になってきて、逃げ出してきたという女性もいた。

  団体は気楽でいいが、群れで歩くのはどうも苦手なのだ。道は線路沿いをずっといけばビルバオの街に着く。たぶん迷うことはないだろう。窓の外のバス停で子どもたちがスクールバスを待っている。月曜日の朝の風景。スペインの日常がここにある。旅人とは俯瞰する傍観者。雨がパラパラ降ってきた。さあ、いいかげん出発しようぜ!
国道沿いの学校までくると、車が何台も止まって子どもたちがぞろぞろ降りてきた。スペインでは小学生を親が学校まで送るのは珍しいことではないようだ。
  遍路はてくてく歩くのみ。しばらく行くと鉄道の駅が見えてきた。線路の反対側にバルがあったのでトイレを借りてひとやすみひとやすみ。

高速道路を跨いで峠を一つ越えるとビルバオの街が見えてきた。近代的な高層ビルもあって、ここは重工業でさかえたスペイン北部第一の都会なのだ。
昔は鉄鉱業で栄えたそうだが、今は観光がとてもうまくいっている。
 市内に入るとさすがに人が多い。何日ぶりの人ごみだろう。川沿いの車の入ってこない遊歩道をプラプラ歩く。座ってみたくなるベンチがたくさんある。ここに座って今夜の宿を地図で探す。川沿いに下っていくと現代建築の「グッケンハイム美術館」が見えてきた。ここは素通りするわけにはいかない。正面にはこの美術館のマスコット、花で飾られた巨大な子犬のパピーがお座りしている。この近未来的な建造物の外壁はなんとチタンでできているのだそうだ!中は現代美術が多い。川沿いにはブロンズの巨大蜘蛛もいた。これはどこかで見たことがあると思ったら、ルイーズ・ブルショアの作品で東京の六本木ヒルズに同じものがある。名前はママンだそうだ。
さて、こまった迷ったぞ!「私はだれ?ここはどこ?」都会に入ると黄色の矢印が見つけられない。アルベルゲはどこや!おまけに気に入っていた竹の杖をどこかに置き忘れてきた。あせる!心当たりまで探しにもどるがない!「あちゃー!やっちまったよー悔しいー!」とても気に入っていたのに。

  とにかく今夜の宿を確保しよう。ようやく街はずれに私営のアルベルゲを見つけてチェックイン!「bilbao akelarre hostel」巡礼以外の人も泊まれる宿だった。ここには朝はあんなにいた顔見知りの巡礼者が誰もいない。ペレグリーノはどうやら僕だけらしい。作戦は見事に成功だが、ちょっと淋しい…。
シャワーを浴びてシエスタ。ガイドブックによるとビルバオの旧市街(カスコ・ビエホ)にはピンチョスを楽しめるバルがたくさんあるという。ところが、杖を失くしたお遍路はすっかり元気をなくしてしまった。旧市街がどうにも遠い。お腹も減ってきたので近場の適当なレストランでご飯を食べることにする。すると、もう眠い。

夜遊びをするにも体力がいるのだなぁー。ビルバオの夜の明かりは美しいが初老お遍路はもうまぶたがひっつかんばかり。今日の宿に門限はないがもう帰って寝よう!

明日はがんばって歩くぞー!

グゥー!!

(つづく)

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