711028 棚橋正人
6月25日(日) ピニェレス・デ・プリア( Pineres de Pria) ~ ラ・イスラ(La Isla) 26㎞
珍しく薄暗い時刻に宿を出たのだが、道標を見落として村の中をウロウロ。
仕方なく分岐のところまで戻って反対方向に進む。やれやれ!
道は村の山側を登っていく。尾根に出ると眼下に朝焼けのカンタブリア海が見えた。美しい!これが今朝のご褒美だ!
しばらく行くと鐘の下に時計が埋め込んである教会があった。ここは泊まれるのかも知れない。その先にペイントした手のひら大の石が数百個積み上げてある。絵のテーマは巡礼や自然。なかなか可愛いらしい。近くの小学生が作ったのかも知れないな。
ちょうどお腹の減ってきたころにRibadesella(リバデセーリャ)の町に着いた。早速バルで遅い朝ご飯。カフェコンレチェ(ミルクコーヒー)がうまい。
入り江の橋を渡るとそこはリバデセーリャの砂浜。ここもお洒落なリゾート地だった。海岸沿いの遊歩道のフェンスにかすがいがあって、それがカヌーのオールの形をしている。ここはカヌーの世界大会が開かれる町なのだそうだ。仕事の仲間でヨット競技をしている人がいて、その方によるとヨットの世界大会もスペインのこの辺りであるらしい。だからこの海岸一帯はスペインのリゾートであるばかりではなく世界的マリンスポーツの聖地なのだ。
気になって調べてみたら、私が「北の道」を歩いた2017年の6月7日からサンタンデールでセーリングワールドカップが開かれていた。サンタンデールの渡し船に乗ったのは一週間前の6月18日なのでちょうどこの時期だった。知人もスペインに行くはずだったというから、運命の糸は思わぬところですれ違っているのだ。
海岸の砂浜では50人くらいがサーフィンを楽しんでいる。6,7歳の兄弟を連れたお父さんが子どもと遊んでいる。10歳くらいの少女が赤いウエットスーツを着て、これから波乗りに出かけようとしている。お父さんと二人でボードを持って波打ち際に向かう。いいなぁー。
老人が砂浜で一人、2本の杖に体重を預けて海を眺めている。
白髪でかなり体重がありそうだ。彼は何を思っているのだろうか…。
人生は楽しむためにあるというのがスペインの人の信条だと聞いた。
こうして楽しいバカンスを過ごすために1年を頑張って働く。
老いも若きも家族もみんなで楽しむ。
しかし、遍路は歩く。それらをながめてぼつぼつ歩く。これも幸福!
また高床式の倉庫があった。やはり穀物蔵だった。足とネズミ返しは武骨な石で出来ている。西の果てのムシアにあったのは細長い四角形だったが、ここらのは大型で正方形だ。ガリシア語ではオレオといい、アストゥリアス語ではオル・オリウというそうだ。軒先からトウモロコシの干したのがぶら下がっているのがよく似合う。
海岸線の草地を歩く。ここも牧場らしく柵のかんぬきを開けて出入りする。
出口の柵に張り紙が
「Por favor, Cierren, Gracias」
「お願い、閉めて、ありがとう」
なんかほっこり!スペインいいね!
前からツーリングの自転車が1台やってくる。だいぶお疲れのようす。がんばって!高速道路を超えて目指す港町に入る。
アルベルゲを探して岬の先まで行ったが、満員だった。若い子たち中学生くらいの子が大勢いた。村のおばさんに他にアルベルゲはないかと聞くと海岸に私営の安い宿があると教えてくれた。やれやれせっかく上った坂道をまた下る。夏の家みたいな宿はあったが、ここも海の客で満員だった。どうしよう?
6月に入ると学生の旅行がどっと増えると聞いたがほんとうだった。観光地では安い宿から埋まる可能性が高い。しかたない、お金持ちのおじさんは今夜はホテルだ。バルに近くてそれほど高くないホテルにご宿泊決定!
うわー個室だ!カミーノで初めての一人部屋!シャワーも独り占め!トイレもドアを開けたままでもOK!この解放感!は快感!!
ロビーにはゆったりソファーがあって、窓の外には芝生。
フロントのお姉さんはとても美しかった。
でも、なんか落ち着かない。巡礼者はだれもいない。
レストランに食事に行って明日からの計画を練ろう!
寝袋以外の寝具で寝るのは何日ぶりだろう。
スプリングのきいたベッドで清潔なシーツで寝られる幸せ!
スタンドの明かりを消そうとしたがもう眠い……。
グッグー!!
(つづく)
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