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2020年1月8日水曜日

2017年 スペイン巡礼 北の道 (16)

711028 棚橋正人
    

6月15日(木) カストロ・ウルディアレス(Castro Urdiales) ~ リエンド(Liendo25
 

気持ちよく目覚める。昨日はよく飲んだ!JIMさんはここに来る前の宿でダニにやられたのがひどくなって顔がはれていた。抗ヒスタミン薬の入った「ムヒアルファEX」が効くのだが、手持ちをあげるわけにもいかないので、有効成分をメモしてもらった。アルベルゲには野宿の若者も泊るので、ダニや蚤が持ち込まれることがある。それを防ぐために、受付で渡される使い捨てシーツをマットレスにかぶせ自前の寝袋で寝る。宿に備え付けの毛布は誰が使ったか分からないし、まめに天日干ししてくれているかどうか怪しい。だから虫よけと強力な虫刺され薬は必需品だと思う。以前虫にやられて現地の薬局に行ったが、説明がうまくいかず、効く薬が手に入らなかった。やはり、日本で多めに買って持っていくのがいいと思う。

僕も次回のカミーノは自転車巡礼がいいなと思っているので「またアドバイスをよろしく」とお願いして先に宿を出た。JIMさんは遅出を決めている。1日の移動距離はせいぜい50キロくらいだという。(カミーノを走っているヨーロッパの若いチャリダーは一日、100キロは走る)あんまり早くアルベルゲに着いても宿は開いていない。早くて3時。遅いところは4時くらいになる。自転車なら着いてから町をウロウロ走れるし、ちょっと離れた観光地にも足を延ばせる。自転車いいなぁー。しかしネックは日本からどうやって運ぶかなのですよ。JIMさんの自転車は相当年季のはいったアルミのマウンテンバイク。航空機の乗り継ぎが心配で、箱をぶん投げられて変速機が壊れていたら目も当てられない。梱包をどうするか?料金は?計画が具体化したらJimさんにぜひ相談しよう。
もう一つ思い出した。JIMさんは花粉症なのだが、日本で症状が出ていてもヨーロッパに来るとピタリと治まるというのだ。つまり、日本で花粉による症状といわれているものが実は花粉以外のものが影響しているのではないか?それは単純に中国からのpm2.5とかではなくて、水・空気・食べ物・農薬・化学肥料、それに原発事故で大量にまき散らされた放射性物質などによる複合汚染と考える方が当たっているような気がする。我々年寄りはいいとしても、孫子が被害を受けるのはなんとしても避けたいと思うが、どうすればいいのだろうか?  
昨夜、無料映画を観ていたらアメリカの野球少年が試合中に「核兵器がなくなるまで僕は野球をしない」と宣言してピッチャーマウンドを離れるというのがあった。騒ぎが大きくなりTVが採りあげる。それを見たバスケットボールのスーパースターが彼に共鳴して引退し、その動きが全世界に伝播してついにはロシアとアメリカが核兵器を撤廃するというストーリーだった。こんなアメリカンドリームはいいな。ほんとにそんなことが起こらないとは限らないのだから、あきらめないことが大切ではないだろうか。香港の民主化デモの中心にいるアグネス・チョウさんや環境問題を国連で訴えたスウェーデンのグレタ・トゥンベリさんを見ていると世界は変えられるかもと思う。

スペインの海岸線を歩いていて思うのはプラスチックごみが全くないことである。目の前のカンブリア海の向こうは大西洋。北赤道海流から北大西洋海流が流れている。人口の少なさもあるだろうが、日本の海のプラスチックごみの多さはひどすぎる。分別はもちろんだがレジ袋をもらうのもやめよう。昔、市場に買い物に行くときは母親から「買い物かご」を持たされたものだった。それにもどればいいのだ。

  さて、今日も海沿いを歩く。牧場の柵に黄色の矢印がある。「ここを開けて通りなさい」というサイン。人生もこんなサインがあればいいのにと思う。
海沿いのテーブルとベンチでカップルが軽食を終えて出発準備をしている。いい感じなのでシャッターを切った。実はこのご夫婦と何日もたった後に知り合う。そして、いろんなことをいっしょに経験することになるとは思ってもみなかった。この文章を書くために、写真を時系列で見直している時、拡大してみて初めてこの時出会っていたとわかった。不思議な縁で繋がっていたのだと改めて思う。カミーノはこれだからやめられない。

  空はどんよりしている。海岸線は優しい風景にかわり、いろんな花が目に付くようになる。自転車の一団が追い抜いていくがJIMは現れない。歩きの道を自転車が行くとは限らないから、もっと先まで行ってしまったんだろう。村を通過するときに山腹にぽっかりトンネルが見えた。これも鉱山のあとなのだと思う。
やがて小さな村に到着。教会の近くのバルでおじいちゃんたちがおしゃべりをしている。「アルベルゲはどこですか?」と尋ねると「あっちだよ」と広場の向こうを指さして教えてくれた。リエンド(Liend)のアルベルゲにはだれもいなかった。カギは開いていたので中に入ると、きれいでこぢんまりしていた。1階がトイレとシャワーと食堂。2階にベッドが並んでいた。しばらくすると車で女性のオスピタレロが現れた。泊まりたいというと「パスポートとクレデンシャル見せて」と言われる。6ユーロを渡して領収書と簡易シーツを受け取る。ここは公営のアルベルゲだ。
他に巡礼者がいなかったので彼女がいろいろ質問してくるが、スペイン語がわからない。もうちょっと勉強してくるのだった。彼女は、「明後日の土曜日にペレグリーノ(巡礼)フェスティバルがあるから、それに参加したらいい」というようなことを言っていると理解した。
このオスピタレロとも、後日再会することになるのだが、そのあたりは後編に譲ることにして、明日のこころだ!!

(つづく)

1 件のコメント:

  1. サワグチサクジ2020年1月10日 19:36

    読み易い流ちょうな文章楽しく読んでいます。今年の5月末Leon〜歩く予定です。

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