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2020年4月8日水曜日

2017年 スペイン巡礼 北の道 (29)


711028 棚橋正人
 628(水) アビレス(Aviles) ~
 サンエステイバン・デ・プラビア(San Esteban de Pravia )  23


5:30に目が覚めた。夜中にまた雨が降ったようだ。昨日はゆっくり休養したので目覚めがいい。6時に宿を出る。ちょうどドイツのご婦人2人とタイミングが同じだった。戸を開けると表通りだ。

 雨に濡れた路面に、信号や車のテールランプの赤が映って美しい。
旧市街の歩道には街灯が燈っていてこれもまた幻想的な風景だ。

アビレスは中世からスペイン有数の海港として栄えた街で、あのスペイン艦隊のガレオン船を造っていた。アビレスの紋章はその三本マストの帆船である。
そのガレオン船を日本で見たことがある。東北の石巻にある慶長使節団のミュージアム「サン・ファン館」でだ。今から400年も昔に仙台の伊達政宗はガレオン船を船大工に造らせ支倉常長を使者としてスペイン国王とローマ教皇に遣わした。その元になったガレオン船はこのアビレスで作られていたのだ!
歴史は面白い!その石巻で復元されたサン・ファン号は震災とその後の風水害でマストが破損した。が、カナダ政府の援助もあって3年後に修復できた。400年も前に日本で造られた帆船が、太平洋と大西洋の荒波を乗り越えてスペインまでやってきたことがすごい!
四国遍路のお仲間が宮城県の松島に住んでいる。その方は無事だったが、ご家族が津波で亡くなられた。2011年の7月にボランティアで行った石巻は惨憺たるありさまだった。町の様子はだんだんに回復しているが、震災前には戻らない。オリンピックに浮かれている昨今だが、東北を忘れている報道が多すぎると思う。福島の原発がその後、安全にコントロールされているとはとても思えないし、汚染された地域の子どもたちの甲状腺がんは確実に増えている。
「安全です」と言われても放射能の影響は過少にしか報道されていないと考えるべきだ。

さて、市庁舎の前を通り「王室フードマーケット」と表示のある通りに来た。店の前のひさしが建物の一部になっている。日本でいうと雪の多い地帯の「雁木」(がんぎ)みたいなつくりだ。ここは雨の多い地方なのでこんな作りになっているのだろう。これなら雨でも商売に困らない。森のような公園を抜けてアビレスの駅を過ぎる。
 国道に「Salinas Longboard Festival」の洒落たポスターがあった。サリーナスは近くのビーチで、ロングボードのフェスティバルを7月の27日から30日までやる。ヨットもカヌーもサーフィンもこの辺りの海岸ではインターナショナルな行事が夏中あるのだ。これは偶然ではなく仕掛けている人がきっといるのだろう。それによって街の経済はうるおい人々は楽しめるのだな。

しかし、国道沿いを歩くのは楽しくない。昼になったのでドライブインのような店で昼食。そこにハーレーの二人乗りがやってきた。後ろは革ジャンのセニョリータ。運転は苦み走ったセニョール。バイクもいいね!スペインにもけっこうハーレー乗りがいるのだ。あの「ドドドッ!」っていう重低音が魅力なのだろう。あの大荷物は長期のツーリングのようだ。こんな旅もいいな!気を付けて!よい旅を!!
本日の宿は少し巡礼路を外れてサンエステバン・デ・プラビア。ここは港に向かう鉄道の終着駅。古い大型のクレーンが何台もある。石炭か鉄鉱石の積出港のようだ。昔は栄えていたが、今はヨットハーバーだけが新しい。説明書きには「古い深海港」とある。さびれていてひっそりしている港も風情があってなかなかいい。

港の一番奥にめざす私営のアルベルゲがあった。ここも古めかしいが情緒がある。シャワーを浴びて、シエスタのあと夕暮れの港をそぞろ歩く。
天井の高いレストランをみつける。いい感じなのに表のメニューのお値段はリーズナブル。「ここに決めた!」女将さんはなかなかの美人。他に客はいない。「英語は?」「わからない!」「スペイン語わかりません!」
女将さんがスマホを持ってきて、スペイン語を吹き込む。それが変な日本語に翻訳される。そのやり取りを二三回繰り返し。オーダーができた。
今考えているのは「ポケトーク」というさんまがCMをしている翻訳機を買うこと。あれならwifiがなくても使える。スペイン語教室を探すより確実なのではないだろうか。

料理はお米を使ったリゾット。美味しかった。ワインはボトルでついてきた。パンは食べ放題。デザートもあってお腹いっぱい!
「女将さん!ごちそうさん!」
「おいしかったよ!」
「ありがとう!」
おんな みなとまち わかれの涙は だれにも わからない
ここは八代亜紀が似合うわ!いいなぁー!
今夜もお遍路、大いびきの爆睡でござります。おやすみなさい! 

(つづく)

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