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2023年7月3日月曜日

富士の山を見れば、五月のつごもりに、雪いと白う降れり 東下り(3)

 

 富士市には、全国高等学校総合文化祭に参加した2000年に滞在したことがあります。8月上旬のこと、ちらっと見えた富士山のてっぺんちょは土の色でした。訪問当時の情報では、夏場に麓から富士山が見えるのは月に5日くらいだそうです。夏場は水蒸気が多いのでなかなか見えないようです。


 東下りのルートからは離れますが、富士山の西側、朝霧高原から日の出を待ったことがあります。科学や数字に弱い私ですが、その日の日の出の方角を「こよみのページ」で確認したら114度だということでした。真北を0度として114度は真東からさらに24度南の方向から太陽が昇る。ではその方角に富士山がある場所はどこか。



 

 

 運のいいことに道の駅朝霧高原が見つかりました。ほぼ富士山から昇る太陽を拝むことができたのでした。同じことを考える人は多いものと思われ、日の出時刻が近づくと多くの人たちが展望台にやってきました。太陽が昇りきると人々はさっと消えていきます。ご来光というのは人々を引きつけるものですね。

(2020年11月訪問)

 東下りの一行が富士山を眺めたのは、こんな西側からではなく、南側からだと思われます。南側からの景色に戻りましょう。
 この年になってもおのぼりさんの私は、新幹線で富士川を渡るころにはそわそわしてしまいます。富士山が見えるかどうか。気になるものはしかたありません。

2012年3月

 

2016年9月


2017年3月

2022年7月(雲でほとんど見えない)

2023年2月

2023年4月


 第9段では、「富士の山」は「比叡の山を二十ばかり重ね上げた」くらいだとなっているのですが、20倍はあんまりではないか。標高でいえば富士山が3776m。比叡山が848m。割り算をすると、4.45倍。標高比率4倍ほどの「盛り」になってしまいます。山容全体の土砂の量でいえば20倍くらいになるのでしょうか。しかし、土砂の量で山の大きさを測るのも妙な気がします。勝手な想像ですが、和歌の間にストーリーが埋まっていく段階で、富士山を実際に見たことのない都人の言葉が入ったのではないか。
 もうひとつ、「五月のつごもり」に山頂あたりに雪が残っているかどうか。旧暦の5月30日(2023年)は新暦では7月17日だそうです(「こよみのページ」)。これまで新幹線から撮った写真を引っ張り出してみました。自分の写真を眺めなおしてみると、9月にはすでに積雪があるように見えます。7月は雲でほとんど見えませんが、雪はないように見える。 
 

 「伊勢物語」の時代に日本列島がどれくらい寒かったかはわかりませんが、令和の7月に雪なんてと思って検索をかけると、意外な情報がありました。富士山写真家「オイ」さんの「富士山とともに」というウェブサイトには、こんなページがありました。「オイ」さんによると、
7月に入るといよいよ登山シーズンとなり、新たに新雪が降ることはほとんどないです。ほとんどの雪は6月中に溶けており、一部の溝の部分などに少し残っているのみとなります。雪が多い年では、登山道に雪が残っていることもあり、その場合は山小屋のスタッフが除雪をしてくれていたりします。
・(8月)いよいよ真夏のシーズン。さすがにほとんど雪は無くなりますが、ごく一部に少し雪が残っている場合があります。富士山の雪は万年雪とも言われ、実は一年中溶けないところもあります。近年は地球温暖化の影響で、微妙な状況になっているようです。

 写真つきで、一年中の積雪情報が載せられています。


 「昔男」は「五月のつごもり」に、「鹿の子まだら」の雪を見たものと信じなければなりません。

(hill)


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