琵琶湖疏水(大津)
4月9日(日)
昨晩から雨は激しくなった。天気予報では9時過ぎには止んで晴れ間も見えるという。せっかく花の都を楽しみたくて、旅の最終日をこの日に設定した。今日で足掛け3年丸2年に及んだ東海道の旅も終わる。晴れてほしい。
雨空を見上げながら出発することにする。大津側の琵琶湖疎水の桜が美しい。東海道から外れて三井寺を参拝する。ここには「三井の晩鍾」がある。境内横には大津絵を売る店があるが、朝早かったので開いていなかった。
国道1号線に出ると上り坂になり、逢坂山に出る。昔の人は、よくも一晩のうちにこの山を越えて都に帰ったものだ。
京阪電鉄の踏切を渡ったところにある、これが蝉丸神社
国道から石段を上る、これも蝉丸神社
逢坂山のサミットを越えたところにある、これまた蝉丸神社
急いで登ろうと思っていたら、蝉丸神社があった。短い峠の途中に3か所ほど蝉丸神社はある。いったい、どこが元か?
雨は上がった。逢坂の関跡を越えるといよいよ京都に入る。山科で五条の別れを過ぎる。道標には「六条大仏」の文字が残る。秀吉が建立した京都大仏が跡となっても道しるべとなっていたことがわかる。
山科の繁華街を過ぎたところで、旧東海道は突然民家の路地とみまがう道に入る。車は通れそうもない道を進む。山肌を縫うように進むと、粟田口刑場跡に出る。
この坂を越えれば蹴上。
今朝ほど見た琵琶湖疎水の京都口に出た。今や京都有数の花見ポイントである「インクライン」を歩く。正式な東海道からは外れるが、お上りさんとしては歩かないわけにはいかない。
それにしても日本語が聞こえてこない。
出迎えてくれたのは、弥二さん喜多さん。見慣れた景色だったせいか、さしたる感動はなかった。観光客や、待ち合わせの人でごった返していたし、帰りの時間も気になり、そそくさとその場を離れた。この旅で初めて帰路を新幹線にした。静岡までの時間、歩いた風景を思い出しながら窓を眺めていた。
よくもこれだけ歩いたもんだ。
次はどこを歩こうか。
完
編集後記
大坪正和さんの「東海道を歩く」。東京、日本橋からの旅の始まりは2015年の3月15日。記事の掲載開始は同年4月1日でした。京都、三条大橋に大坪さんが到着したのが2017年4月9日。約2年で東海道を歩き切ったことになります。しかし、記事掲載は編集者の都合により、2017年3月14日に第11回(藤枝~金谷)を掲載したあと、第12回(日坂~見付)の掲載(2018年6月4日)までに、1年3か月「足止め」をしてしまうことになりました。結果、「東海道を歩く」シリーズの完結までに3年半近くかかってしまいました。作家の大坪さん、そして読者のみなさんにお詫び申し上げます。
作家である大坪さんには、これに懲りず、新しいシリーズを寄稿していただけますよう、お願いを申し上げます。
(hill)
「東海道を歩く」 大坪正和 さくいん
第23回 大津~三条大橋 (このページ)
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